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あのとき、旅立つことを選ばなかったあなたへ。

あけましておめでとうございます。編集プロダクション「プレスラボ」の池田園子(@sonoko0511)です。弊社では毎年年賀状の代わりに、お題を決めた年賀コラムをメンバーの一人ひとりがUPしています。2021年はnoteで「旅立ち」をテーマにお届けします。

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2020年、業界では著名な某氏が亡くなった。SNSやメディアを通して、その方のことをうっすら知っていた。訃報がSNSで飛び交う数日前、親しい人から「◯◯が亡くなった、って」とLINEが届いた。まだお若いのに、あんなに活躍しているように見えたのに——。その方の抱えていた物事を知らない私は勝手なことを思った。

後日、亡くなった◯◯さんについて、親しい人と話す機会があった。2020年夏、食事をしたのが最後だったという。「彼、うつ病だったんだよ」とその人は静かに語った。私は黙り込んだ。何と言っていいのか、わからずにいたからだ。

しばらくして口を開いた。「あくまで端から見るとだよ、面白い会社で働いていて、あんなに活躍していて、羨ましいようなキャリアを築いていたのに」。他人からは素晴らしい道を歩いているように見えていたとしても、本人が苦悩を抱えていることは往々にしてある。その苦しさがどんな類のものであれ。

「あなたは、◯◯さんみたいに落ち込んだことはある?」

話題を少しズラそう。華麗なる仕事人生を送っているように見えるその人に向かって、私は質問を投げかけた。いつも自信満々に見えるその人からは、「ないよ」という返事が来るものだと想像していた。

「あるよ。僕もうつになったことがある」

思いがけない言葉だった。グローバルで高い影響力を持つ会社に勤めていた頃、初めて「何もかも上手くいかない」状態になり、心を病んだのだという。「死んだら楽になるのかな、と考えたこともあるよ」とその人は言った。

「それ(死)を選ばないでくれてよかった」

思わずその人をハグした。「強い、強い(笑)」と苦笑されるくらい、力強く抱き締める。今ここに、私の目の前に存在してくれて、ありがとう。あのとき、生きることを選択してくれて、よかった。そんな思いを全身で伝えたかったのだ。

もうひとつ気になることがあった。その人はいかにして、心の病から立ち直ったのか。

「運動かな」。事もなげに言う、その人の鍛えられた肉体は、生きることを選んでもがきながらも前進してきた証のひとつなのかもしれない。

ただ、その人が生きていることは奇跡のようなもの。◯◯さんが選択した道に進むことだって、あり得なくはなかったわけだから。

人はいつか旅立つ。その理由はいろいろだ。自分で旅立ちを選ぶかもしれないし、思いがけないタイミングで、その日がやって来るかもしれない。

後悔することのないよう、大事な人のことを文字通り、大事にしたい。今ここに存在してくれてありがとう。そんな思いを伝え、行動に移す努力を、私は今年も惜しまないつもりだ。

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