もちを食べながら
※この文章は、年末に必死で切り餅を大量消費している編集者が執筆したものです
編集者という肩書きへのこだわりは、別にないのかもしれない。
2024年はこれまでと比べて、触れたもの、関わったもの、つくったものの幅が広い1年だったと思う。「インタビューをして記事をつくる」以外のモノづくりとの接点をたくさん持った。撮影のディレクションだけをする仕事や、冊子のデザインのディレクションだけをする仕事。個人の案件では動画のディレクションも始めたし、年末には友達の展示の手伝いもした。
ここ数年、自分のやりたいことを考えたとき、自分は「編集」という業務にこだわっているのではなく、「編集」という業務を通して行う「関係性づくり」や「コミュニケーション」にこだわっているのではないか、と朧げながら思うようになった。それはつまり、何をつくるか以上に、誰とどのような関係性を築き、どのようにつくっていくかに意識が向いているということで。最初から着地点が決まっているモノづくりではなく、コミュニケーションを積み重ねて生まれた関係性の延長線で「じゃあこれをつくってみませんか?」とたどり着くのが好きなのだと気づいた。
先日、旧知のライターさんからも「大輝さんのスタンスは編集を手法としたコミュニケーションって感じがする」と言われたのもあり、2025年は自分の編集者としてのあり方についてちゃんと考えていきたい。
関係性づくりやコミュニケーションを重ねるうえで「編集者」という肩書きは都合が良いとは思いつつ、それは「編集者」という定義の不明瞭な職業ゆえの曖昧さによるものなので、そこに頼り続けるのも違うのかもしれない。とはいえ、それを考えて立ち止まるよりは「記事をつくる」以外のモノづくりの選択肢をとにかく増やしたい、という気持ちからアウトプットの幅を広げることを意識した1年だった。
一方で「広げる」だけではなく、「深める」ことを考える機会も多かった。
自分のインタビューのスタイルを数年ぶりに変えた。「準備」と「即興」の両立を実現するために、徹底したリサーチはしつつも取材前にはそれを捨てて、その場の新鮮な感情の揺らぎや興味の移りに気がつけるよう、自然体でいること。そのための塩梅(準備したものをどこまで捨てられるか)の調整に苦心しているけど、今のところは楽しく取り組めている。
取材や仕事を通して生まれた縁もたくさんあった。今まで、仕事を通して誰かとの個人的な関係性が生まれたことなんてほとんどない。仕事を仕事と割り切るタイプなのでどうしても壁をつくってしまう部分があり、仕事では仲良くなれても、個人として仲良くなるのは苦手だ。けれども、その壁を取り払ってくれて、大切にしたいと思える出会いはあった。今まではなんとなく、関係性を築くことから逃げていたように思うけど、自分のこれからのあり方を考えるならば、仕事とかそういうのは関係なく、一人の人間として相手と向き合える自分でありたいな、と今は思う。
2025年は、すでにやりたいことがたくさん浮かんでいるし、考えたいことも山積み。ずっと準備していたものもあるし、新しく種をまき始めたものもある。それらすべてがどのような形で花開くかは分からないけれど、やらない後悔よりやって大成功を目指したい。
早川(@dai_nuko)