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プレスラボおせち:深夜ドラマについて語らせてほしい

あけましておめでとうございます!
プレスラボの早川大輝(@dai_nuko)です。

毎年、プレスラボの恒例となっている、年賀状代わりの「年賀コラム」。というものがあるのですが、今年は久しぶりに参加させてもらうことになりました(5年ぶり2回目)。

テーマは「プレスラボおせち」。自分にポジティブな影響を与えたコンテンツや体験、自分が偏愛しているものなどを、自由にコラムにまとめるというものです。インドア型多趣味なので何について書こうかは悩んだのですが、ここは大好きなドラマについて、とりわけ「深夜ドラマ」について書かせてください。

改めて、深夜ドラマとは

「深夜ドラマ」とは、読んで字の如く、深夜に放送しているドラマのことです。テレビ業界では、19〜22時をゴールデンタイム、19〜23時をプライムタイムと呼んでおり、この時間帯は視聴率が見込めるため、各局の看板番組がひしめき合います。

これはドラマにおいても同様。例えば、一番有名なドラマ枠である、フジテレビの「月9」は月曜21時。ほかにも『半沢直樹』に代表されるような重厚な人間ドラマが人気のTBS「日曜劇場」は日曜21時、女性向けの恋愛ドラマが人気のTBS「火曜ドラマ」は火曜22時と、やはり看板ドラマはゴールデン・プライム帯で放送されています。

深夜ドラマはというと、それ以降の時間帯でしょうか。「どこからが深夜ドラマと呼べるか」は少しややこしい気もするのですが、このコラムにおいては、ゴールデン・プライム帯が終わった23時以降に放送しているドラマを「深夜ドラマ」と呼ぼうと思います。

僕は昔から、ゴールデン・プライム帯のドラマよりも深夜ドラマの方が好きで、よく観てきました。ここからは、深夜ドラマのどんなところが好きなのか、まとめます。

もはや王道はない、テーマが自由で楽しい

深夜ドラマと言えば、テーマの自由性。ゴールデン・プライム帯ではできないような尖った企画や、独特な世界観、粗削りの作品が観られるのが一つの魅力。まさに、発想の勝利というような作品も多いです。

例えば、「かつて魔王を封印した伝説の魔法使いが、今は待機児童を抱える母親になってしまった話」「ある日急に、抽選で決まった相手とお見合いをしなければならない法律が制定された話」「ある一人の男が、アナウンサーと解説者に実況解説され続ける話」「過去に美容整形が流行し、大人のほとんどが同じ顔をした世界に生きている、自らの外見に悩む少年少女たちの話」などなど。文字にするとなかなか突飛な設定もありますね。

ところが、極端な世界観やシチュエーションだと油断していたら、そこに描かれるドラマには、これは現実の延長線上にあるのだと思わされる何かがあったり、僕たちの世界にも確かに存在する普遍的なことをテーマにしていたりするわけです。構えていないところで不意に自分に刺さる展開、セリフが飛び出してくる瞬間が、たまらないです。

大喜利状態のグルメドラマ

王道はない、なんて書きましたが、深夜ドラマのすべてが尖った世界観なわけではありません。深夜ドラマにだってメジャージャンルはあります。それは『孤独のグルメ』に代表される、グルメドラマ。ゴールデン・プライム帯には少なくて、深夜帯にはハッキリと多いジャンルがこのグルメドラマです。

実は深夜ドラマ、グルメドラマの激戦区。毎クールさまざまなグルメドラマが放送されているため、もはやグルメドラマは「シチュエーション大喜利」となっています。どんなシチュエーションにおける食の探求を描くか。「白飯に合う、最高のご飯のお供を探す修行僧の旅」や「自宅にこもり仕事をしがちな作家・漫画家がお取り寄せグルメを堪能する」「地方出張の多いサラリーマンが、現地で酒のつまみを調達し、帰りの新幹線で一人居酒屋を満喫する」、一つのジャンルでここまでさまざまなシチュエーションを作れるのかと、毎度関心しています。

深夜のグルメドラマには、実在のお店を紹介しているものも多いため、ドラマを観た後に現地へ足を運ぶという楽しみ方も。僕はいつもGoogleマップ上にメモして、近くで取材があるときに寄るようにしています。

深夜にぴったりな、心穏やかに過ごせる、余白のある作品たち

以前、ある深夜ドラマプロデューサーに取材したとき、「仕事を終えて帰ってきた人の気持ちをささくれ立たせない、ぼーっと観られるドラマを意識して作っている」と聞きました。そう、作り手側は深夜に観られることを意識して、作品作りをしているのです。その言葉通り、深夜のドラマには時間の流れをゆっくり感じる、余白のある作品が多い。セリフだって、演出だって、説明的すぎない。もちろん、監督や脚本家によると言ってしまえばそれまでですが、それでも比較的そういう作品が多いと僕は感じます。

放送時間はだいたい30〜40分。一気見が捗る、捗る……

さっき、いかにも「深夜にドラマを観ている」かのような書き方をしたくせにびっくりですが……。

自分の中の「王道な自分」と「邪道な自分」が戦った結果、邪道が大勝ち。すみません、昔の自分なら絶対にドラマはリアルタイムで追っかける派だったのですが、最近はもっぱら一気見派です。

年末から年始にかけて、過去ドラマの一挙放送ってやってるじゃないですか。やってるんですよ。僕はそれが好きで、よく観ています。なんとなく手を出してなかったけど、話題になってたドラマを、ああいう機会に一気見するんです。すると、急激にハマることがあって。昔、それで『おっさんずラブ』にハマりました。

ドラマには、毎週放送だからこその良さもあります。一つお気に入りの作品を見つけたら、毎週の楽しみが一つできる。めちゃくちゃ素敵ですよね。ただ、それはそれとして、ドラマの世界観に思いっきり浸ることができる、一気見もなかなか楽しいもので。深夜ドラマは、長くても40分、だいたいの作品は30分で終わる(CMをカットするともっと短い)ため、一気見がしやすい。短いから、観直すのも簡単です。

年明けに一気見してみてほしい、気軽に観られるオススメ深夜ドラマ

ここまで長々と深夜ドラマについて語ってしまいましたが、最後に個人的なオススメドラマを紹介することでこのコラムを締めたいと思います。なるべく最近のドラマから選びました。

『お耳に合いましたら。』

漬物会社に勤務する美園(伊藤万理華)が、ひょんなことから、「チェーン店グルメ=チェンメシ」をテーマにしたPodcastを始める話。これは、どんなにささやかなものでもいいので、自分にとって大切な、好きなものがある人に観てほしい。「自分の好きなものを好きでい続けるため」の物語でありながら、「等身大の自分の本音と向き合う」物語です。大きな事件が起きるわけではない、小さな物語です。でもそこには大人の青春がありました。

主演の伊藤万理華さんをはじめ、すべての登場人物が愛らしい。美術も音楽も画作りもすべてが素晴らしい、大好きなドラマでした。『Amazon Prime』『Paravi』などで配信されています。

『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』

『お耳に合いましたら。』にハマった人にぜひとも観てほしいのが、同じく畑中翔太さん(企画)、寺原洋平プロデューサーコンビによる『量産型リコ-プラモ女子の人生組み立て記-』。イベント会社に務める璃子(与田祐希)は、いわゆる量産型女子。そんな璃子が、ふと出合ったプラモデルという趣味を通して、自分を見つめ直し、成長していく物語です。

「プラモデル×深夜ドラマ」をテーマにしており、一見、人を選びそうですが、観てみればこれも「等身大な自分の本音と向き合う」物語なのだと分かります。璃子はプラモデルを通して、自分だけではなく周りの人たちのいろいろな顔、想いを知っていく。気づいたら、すべての登場人物を好きになってしまっていて、この優しい世界観に救われています。『お耳に合いましたら。』もそうだったんですけど、「誰かにとって宝物のような、ピュアな好きの気持ち」が描かれていて、それに触れると感情がめちゃくちゃ揺さぶられてしまって泣きそうになります。畑中さん寺原さんコンビは本当にすごいです。すごいフォーマットを作りましたよ。これ、どんなテーマでもドラマになるじゃないですか。

配信はちょっと少ないですが……『dTV』『ひかりTV』で配信しているそうです。『Amazon Prime』にもレンタルならありました。

『おいハンサム!!』

性格はまったく違うけど、「男を見る目はない」という共通点がある3姉妹と、頑固おやじ、のんびりした母親によるホームコメディ。3姉妹を演じる木南晴夏さん、佐久間由衣さん、武田玲奈さん、及び母親のMEGUMIさん、父親の吉田鋼太郎さん、みんな最高ですね。とにかくセリフ回しが良い。軽快なセリフの応酬の中で、どこかで引っ掛かる脈絡のなさ。作品全体に漂うナンセンスな雰囲気が心地よくて。僕はこの作品の脈絡のなさが好きです。「突然だけど思い出した」って急に話が始まったりするので、本当に唐突なんですけど、僕たちが日々考えていることってそれくらい脈絡ないですよね。日常の些細な出来事から人生で大切なことを見つけたり、そういうことの連続じゃないですか。

くだらなくも温かい、この物語。令和のホームコメディの中で本当に名作だと思っています。ずっと笑ってました。『Netflix』や『U-NEXT』などで配信しています。

『生き残った6人によると』

ゾンビ映画で定番の「ショッピングモールに立てこもる」というシチュエーション。このドラマは、そのシチュエーションだけを切り取り、そこに逃げ込んだ若者たちの共同生活を描いた作品。つまり、ゾンビが闊歩する世界で隔離されたショッピングモールを舞台にしたシチュエーションコメディ、しかもフタを開けてみたらガッツリ恋愛もの。個人的には「やられた!」と思って。そんなん設定勝ちじゃん、と。おまけに、いたずらで出されたラブレターが勘違いの連鎖によって大騒動を巻き起こすとか、ど王道にちゃんとしたコメディやったりするんですよ。世界観はゾンビだらけなのに、別にそんなに脅威的な存在ではなくて、それはショッピングモールの中が平和だから。登場人物にとっては、目の前の恋愛の方が大きな問題なんですね。

俳優陣はネクストブレイクの若き才能たちが揃っていて、映像も演出もキャラクターもポップでテンポも良い。リアルタイムで2話を観たとき、「とんでもない作品始まってんじゃん」とニヤニヤしちゃいました。監督の二宮健さん、調べたら同世代でした。わーお。全6話とお手軽なので、ぜひ。『Hulu』独占配信とのこと。

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以上です。長々とありがとうございました。カロリー高くてすみません。

深夜ドラマについてちゃんと書こうとすると、文字数が圧倒的に足りないので、今回はあえて勢いに任せて書いてみました。ただの深夜ドラマ愛好家ですが、深夜ドラマの話だったら喜んでします。セレクトでバレているかもしれませんが、変化球好きです。

それでは、2023年もよろしくお願いします。

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